REI HIROE'S LOSER' S HORIZON 日本語版


「サンデーGX」にて好評不定期連載中のコラム「ヘタレの地平線」。今回は2009年夏コミにて先行販売された特製小冊子、『ブラック・ラグーン毒本』の巻末に新作が収録されてました!
しかも近年急増中の、外国のお客様にむけた英語版です!!
というのは言い訳で、英語でやったら面白いかも!? という思いつきでやってみただけです。せっかくなので、ここに邦訳版を全文掲載いたします。

外国のみなさん、こんにちは! このコラムは、『ブラック・ラグーン』の原作者・広江礼威氏とその担当編集者が、たいして内容のない話をグダグダと雑談するだけの内容です。小学館から発行されている「月刊サンデーGX」にときどき掲載されています。広江氏は、とても繊細ですぐ担当編集者に被害妄想が炸裂した弱音を吐きます。その弱音の吐き方が尋常ではないので、担当編集者は広江氏のことを「ヘタレ番長」を名付けました。それがこのコラムを『ヘタレの地平線』と名付けたきっかけです。

広江礼威プロフィール
1972年12月5日生まれ。ゲーム会社勤務を経て、『翡翠峡奇譚』にて漫画家デビュー。漫画の代表作は『SHOOK UP !』『Phantom BULLET』などがある。イラスト集は『Barrage Rei Hiroe Artworks』『REIGBORHOOD! Rei Hiroe ILLUSTRATIONS』がある。

担当編集者プロフィール
小学館「月刊サンデーGX」の漫画編集者。『ブラック・ラグーン』を担当している。広江礼威氏の愚痴を聞いてあげる係でもある。その他の担当作品は、『ヨルムンガンド』『ワイルダネス』など。編集部内では「銃撃戦漫画専門編集者」と呼ばれている。

GX史上初! 『ヘタレの地平線』の英語版ですよ。

広江外国のお客さんに向けてお送りするわけですね。

GXハロー! フォリナー?

広江スゲー! 頭が悪そう(笑)。どうせ英訳するんだから日本語でしゃべろうよ! 外人さんはたまに、僕のホームページにメールをくれますよ。たいがい「次の単行本はいつ出るのか? ってこととアニメ第3期はいつやるんだ?」と判で押したように聞いてきます。日本の読者さんも同じような問い合わせをしてくるので、GX本誌で早く情報を出してください(笑)。

GXこの小冊子が日本で出回った時点で情報は出ています! 一応言っておきますが、国内版『ブラック・ラグーン』第9集の発売は10月19日です! アニメ第3期は、OVAで発売予定です。時期は2010年を予定しています。それぞれ海外版は、いつになるか知らん! そのうち出るから待っててください!

広江そんないきなり海外の方に不親切な態度を!

GXだって、知らないものは知らないし…。告知が終了したところで、本題に入ります。最近、コミケにも海外の方が増えておりまして、我がサンデーGXブースにも『ブラック・ラグーン』のグッズを買いにくる外国人は増えております。ラグーン・グッズに書いてるある汚い文句を読んで、「ニヤリ」として買っていく外国の方もいました(笑)。

広江海外の方といえば、背中にレヴィさんの入れ墨した人がその画像を送ってきました(笑)。それを認めてくれと言うのはやめろー(笑)。

GX僕も画像を見せてもらったけど、あの人は将来どうすんのかな?

広江ちゃんと死ぬまで添い遂げて欲しいですよね!

GXその話を聞いた『ブラック・ラグーン』の北米版を出しているVIZ Mediaの人が、「コピーライト表記を入れろ!」とか「版権料を払え!」とか言ってたよ(笑)。

広江えええ? 背中の下のほうに(C)表記を彫るの? ダメだよ、そんなどっかの黒ネズミの元締めみたいことを言っちゃー(笑)。そもそも1点ものだし、売り物ではないじゃん(笑)。

GXまあ、ジョークだと思うけど(笑)。

広江それにしても、結構いろんな国で読まれてますよね。この間は、ポーランド人からメールがきましたよ。あとはフランス、ドイツ、カナダ、イギリス…。逆に、アメリカからはあまり来ないですね。あとはマレーシアとかアジア全般からきますね。

GX今度ブラジルでも出るはず。

広江ブラジルなんて、ちょっとダウンタウンのほうに行けば、『ブラック・ラグーン』なんて読まなくても、同じようなことをやってるような場所があると思うけど…(笑)。

GX(笑)。『シティ・オブ・ゴッド』ですか?

広江あそこのほうがロアナプラより百万倍も怖い気が…(笑)。そういうことを言うなって!

GXああ、喧嘩を売ってるんですか?

広江そんなことないです(笑)。

GXロアナプラって話が出たから言うけど、タイの人から、「こんな酷い街なんか、自分の国にはないよ!」ってクレームが来たりしないの?

広江逆にそういうのがあったら面白いんですけど。言われたら、そうだろうなあって思うし(笑)。自分が『X-MEN』を読んで、「マツオ・ツラヤバ」って誰やねん? と思ってると同じじゃないですか(笑)。そういうのは、タイの人にも絶対あると思うんですよ。指摘してもらってもいいし、なんだったら地名のネタ出しとかしてくれてもいいくらいですよ。

GXそもそも『ブラック・ラグーン』のセリフは世界各国で翻訳された場合、どういったニュアンスで伝わっているんですかね? 昨年末の小学館の忘年会では、フランスの出版社の女性に、「レヴィのファンです!」と言われたりしましたが…。レヴィさんは国際的に通じるキャラなんですか?

広江さあ? 性格的にいろいろ問題がある人ですけどね…。

GXそうだよね。バラライカとかロベルタとかエダとか、ビッチ系のキャラが主要なキャラを占める漫画って珍しいのかな?

広江わからん。自分では、そういうキャラが好きで凄くナチュラルに描いてるからね…。うーん、 「新自由主義」的な匂いがするから? なに、その変な例え(笑)。

GX(笑)。せっかくだから、もう少しキャラについて話をしましょうか。そもそもレヴィをチャイニーズアメリカンにした理由はなんなの?

広江まずレヴィは人種的に「マイノリティ」にしたかったんですよ。あと見た目が、「コーカソイド」ではなく「モンゴロイド」なので、まず日本人のお客さんに親しみやすいと思った。白人の女性が大暴れしているより。中国系のアメリカ人だと、見た目的には中国人だけど、育ちとか根っこのところはアメリカ人じゃないですか。見た目と考え方のギャップがあったりすると面白い。そういう人は地域に余り腰が据わってなくて、根無し草感覚ってのがあると思うだろうと。だから普通の人とは変わっていてキャラとして面白いんじゃないかと。当然、生きていく中で差別も受けるだろうから、そういうのをひっくるめた上でキャラが際立つと思うんですよね。

GXそこからディテールを詰めていくという感じ?

広江キャラの現在の状態から逆算して、考え方や生き方とかを想像したりしますね。それを考えていく過程がおもしろかったりする。まずコイツは、この国籍で、この人種で、こういうところに所属している人間と決めて、今度は現実にある史実とか事象を調べたりします。そこから、それぞれの要素の糸を結んで行って、有機的に繋がると「わーい面白い」ってなるわけです(笑)。点と点を繋いでいって出来上がった図形が、自分の想像したものとは全然違うものになったりするんですよ。

GXそうするとリアリティ重視になるよね?

広江中途半端に現実が舞台となっている作品だから、その辺りを外してしまうとつまらなくなるじゃないですか。でもギリギリの現実感は確保したい。あくまで自分の個人的な感覚ではあるんですけど。 例えばターミネーターみたいなメイドのロベルタのような存在は、「小説」だとアウトなんですけど、「漫画」だとあそこまでやらないとダメなんですよ。漫画だからハッタリを効かせないと。

GXではそろそろ字数も残り少ないので、海外の方にメッセージを。

広江新作PCゲームの違法ダウンロードはやめろ! いや、まあ、感想をください。やっぱり最新シリーズのロベルタ・リベンジ編はどうなんでしょうか?  つまらないの? とか(笑)。

GXえええ?

広江いや、うそ! ロベルタ・リベンジ編は面白い! ……はず、もういいよ、知らない! いや、もうキツいねん。そりゃあテンションがおかしくなるっちゅーねん。そういうテンションは無尽蔵ではないのよ〜。これだけ大騒ぎしている漫画を描いていると、どこかでへばる瞬間があるじゃん。いま、そういう感じ。だから、たまにバラードやらせて(笑)。ずっとシャウトし続けてたから、そろそろバラードやらせて…。やっちゃダメ?

GXじゃあ、『ブラック・ラグーン』でやるか?

広江ラグーンで? やりようないじゃん! 雪緒ちゃんみたいばっか出てきて、レヴィとか全然出て来なきゃいいけど。他のロアナプラの住人だと無理だし。雪緒ちゃん、なんで死んじゃったんや…。そのうち出したい●●●●●●人はダメだしなあ。こいつは、俺の頭の中で、キャラが凄い膨らんじゃって、ひょっとしたらレヴィを食うかも? ってとこまで出来上がってきてるからなあ…。

GX確かにその新キャラのアイデアを聞いてると、バラードが似合うキャラにはならないよね。

広江全然ならない! 『チェイサー』という韓国映画を観てたら「折り畳み椅子パンチ」という凄い技があって(笑)。とても気に入ったので、その新キャラにぜひやらせよう! って…。そんなことばかり考えていると、疲れるわけですよ(笑)。

GXそっちのほうがノリノリじゃないか!

広江(笑)。いや、やろうと思って、考えてると楽しいんだけど(笑)。でも、そういうことばっかり考えているとやっぱり心が荒むのよ!

GXそういうのが本能的に好きなくせに!

広江好きは好きだよ(笑)。だから否定をする気はないし、たぶんそういうことが(創作の)メインだとは思うけど、ずっとそればっかり描いてると焼き切れる!

GXバラードやりたいなんて、ぬるいこと言っちゃダメなんだって。燃え尽きないと!

広江まーた、そんな無責任なこと言って…(笑)。そういうもんかい? いや、それで売れ続けて、出し殻になってる分には、その甲斐はあるけど…。

GX現に売れてるじゃん!

広江だからこの先の話だよ! そういう先々のことを考えちゃう人なのは、僕は! もちろんスロットルを緩めようという気はないのよ、『ブラック・ラグーン』に関しては。ただ、それだけやってるとしんどいなって話。

GX趣味でエロ同人誌もやればええがな。

広江『ブラック・ラグーン』でバイオレンスやって、同人誌でセックスやって…。

GXええやん、セックス&バイオレンスで!

広江そうじゃないねん! 方向性として“ハートフル”がやりたいねん!!

GXえええええええええええええええ!?

広江わからんけど…。いや、ハートフルじゃない(笑)。ハートフルは嘘!

GX(笑)。耳を疑ったよ。

広江でも、少しユルいやつ…。

GX無理! そういうさじ加減が難しいユルさは無理だよ、君は。

広江言われなくてもわかってるんじゃー! もう、いいよ。

GXこのコラムを読んで海外の方からご感想をお待ちしています! メールは、広江礼威公式サイトまで送ってね!

広江これ読んだ外国人にも「ヘタレ!」とか笑われるんだな、俺は!!


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