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ロアナプラ観光協会

HOW TO SURVIVE ロアナプラ

作者・広江礼威氏の解説付き、ロアナプラの名所案内。
悪党共の棲む街で生き残りたいなら近寄るな。


#0/ #1/ #2-#4/ #5-#8/ #9-#10

#11-#15 Bloodsport Fairy tail 単行本2集収録

イタリアン・マフィアは、バラライカの暗殺を計画し、双子の殺し屋を呼び寄せた。彼らは天使のような笑顔で殺戮を繰り返し、ロアナプラを血の海に変えていく…。

まずちっちゃい子がデカイ銃を持っているとコケティッシュで可愛いですよねって(笑)。そもそもなぜこの回をやったかというと、小さくて可哀想な女の子を出して「優しいのぉ~ん」って愛でる作品があるじゃないですか。そういうものに対して、気持ち悪いなあと思ってて、アンチをやりたかったというのが本音です(笑)。だから絶対、俺は優しくしねえ!と。ちょっとした裏話をすると、当初のクライマックスはバラライカ率いる遊撃隊と派手な銃撃戦をやろうと思ってました。でも尺の問題で今の結末になったんですよね。兄様の死に方に関しては、その大銃撃戦を諦めたあとにイメージが湧いたんですよ。こうやって終わったら、これは酷い結末になるなあって。双子が助からないのは最初から決めていたので、どうやったら誰も助けられない結末になるのかと考えていたら、ああなったという感じですかね。この話が終わったあとに、双子のどちらかを生かしておけば、ラグーン商会に入れて人気も取れるのになーと思ってましたけど……。でもやらない!って(笑)。
姉様がラグーン号で歌った「MIDNIGHT WITH THE STARS」という曲は映画「シャイニング」で使われたものです。双子繋がりで正にスティーブン・キングにオマージュを捧げた感じですね。映画では男性が歌った曲が流れますが、これを小さな女の子が歌ったら凄く綺麗な曲になるんだろうなって思って。
姉様の死に方に関しては、ベニーのセリフと合わせて一気に浮かんだ感じですね。自分が言いたかったことは、すべてベニーさんが言ってくれました。普通はみんな、ロックさんと同じ目線で思うじゃないですか、「助けられないか」って。でもね、現実的には無理なんですよ。目の前に双子みたいのがいたら、みんな、目を背けて逃げますよね。そういう子が可哀想とかいう割には、孤児とか引き取っている人は多くはないですよね。もちろん自分だって逃げますよ、酷い話だとは思いますけど。ただ、そうやってるから世の中は酷いままなんですよ。世の中が酷いのは誰かのせいじゃないんですよ。自分も含めてみんなで逃げ続けている限り酷いままだと思います。(広江氏)


#0 Black Lagoon 単行本1集収録

商社マンの岡島緑郎は、東南アジアに出張中に[ラグーン商会]に誘拐された。会社が助けてくれると思っていたが、やってきたのは口封じのために雇われた傭兵たちだった。

そもそも『ブラック・ラグーン』のアイデアを最初に考えたのは『SHOOK UP ! 』より前、1995年くらいです。当時、アジア近海で海賊行為が横行していて、それをニュースで観た時に、海賊ものをやりたいと思いつきました。実際に物語としてアイデアを練っていく過程で、レヴィ、ダッチ、ベニー、バラライカ、バオというキャラクターはその頃にできてました。それを元に読み切り用のネタとして提出したとき、編集部から読者目線に近いキャラを出してくれと言われて、急遽ロックを作りました。彼が今みたいになるとは当時は想像できませんでしたね(笑)。(広江氏)


#1 Chase for ring-ding ships 単行本1集収録

ヴェトナム軍の横領品を受け取る仕事を依頼された[ラグーン商会]は、フクオク島に向かった。だがそれは、[ラグーン商会]に恨みを持つ同業者たちの罠だった。

印象的には、「久しぶりの商業誌だ、ワーイ!」くらいしか考えてなかったですね。やりたいことはあるにはありましたけど、連載が長く続くとは全然思っていませんでしたから。登場しているキャラに、下品で酷いことをやらせようとか思ってましたね。あと漫画的にはっちゃけていればいいなと。レヴィは立場的にはヒロインなのに、こんな険の強いキャラでいいのか?と思う反面、そういう描き方をすることがモチベーションとなったことは確かです。レヴィの八艘飛びは、ボートチェイスだけだと画面が単調になると思ったのと、#0に続いて銃をバンバン撃たせたほうが読者さんも面白がってくれるだろうと思ったからです。それにしてもバラライカは描いてて楽しかったですね。おっかなくて、もうなんでもありですよね(笑)。彼女のお陰で第1話目からクライムモノの雰囲気が出せたと思います。それにしても初っぱなから主人公の影が薄く、画面に登場するのは悪党ばかりになったのは面白いですね(笑)。(広江氏)


#2-#4 Rasta Blasta 単行本1集収録

誘拐された“ラブレス家”の次期当主、ガルシアを奪い返すべく、使用人のロベルタがロアナプラにやって来た。彼女の正体は“猟犬”と呼ばれる元テロリストだった…!!

まずメイドが武器持って大暴れしたら面白いなあと思ってたんですよね。結構、だらしない理由ですよ。当時はまだ武装メイドがあまりいなかったし。あと『ショックアップ!』の時に、ヘルメスという面白そうなキャラを出し惜しみしてたら、結局出せないまま打ち切りになったんです。そういう目に二度と遭いたくないと思ったので、おもしろキャラは思いついた端から出していこうと。あと、どうせ誰も読んでないだろうっていうノリもあったかな(笑)。まあ、結果的に功を奏した感じですかね。ロベルタが元テロリストというのは、思いつきキャラの肉付けにリアリティを被せてディテールを詰めていく癖があるからできたと思います。彼女の設定はその結果ですね。あとロベルタ関連だと、"ターミネーター走り"をやってみたかったんですけど、アニメではさらにうまく表現してくれたので嬉しかったですね。(広江氏)


#5-#8 Das Wieder Erstehen Des Adlers 単行本2集収録

[ラグーン商会]は、第2次大戦中に撃沈されたUボートに眠る絵画を回収する仕事を依頼された。しかし回収直前、武装集団[白人社会主義団結党]の襲撃を受ける。彼らの目的は…?

そもそも海が舞台なんだから、サルベージみたいなことをやらせようと思ったのがきっかけだったんですよね。でもUボート編は、いろんな意味でターニングポイントでした。リアルでは、まずこのシリーズの第1話を描いている時点で、進行をめぐって担当さんと大喧嘩したという(笑)。今思えば、この頃はまだ不真面目な態度をしていたんでしょうね。どうせすぐクビになると思ってたし。もちろん今は真面目にやってますよ! みなさん、誤解していませんよね(笑)。内容では、レヴィがロックに喧嘩を売っちゃってどうしようという。でも、ここで喧嘩しないとキャラとして嘘なんですよ。この頃はキャラの制御がまったくできなかったんですよ。だからいつも続きをどうしよう?って。それにしてもブリッツさんは本当に良いキャラでしたね。本当に惜しい。デカイ銃を自慢したと思ったら、速攻死ぬという(笑)。でもひょっとしたら、「これは銃のウンチク漫画じゃないから、そのつもりで読んでね」という自分としての意思表明だったのかも。単にアクションだけというわけでもなくて、自分の作家としての姿勢とか、キャラの性格なんかが剥き出しになったシリーズだったかもしれません。そういう意味でもターニングポイントの回でしたね。(広江氏)


#9-#10 Clam dowm,two men 単行本2集収録

考え方の違いから、ロックとレヴィの間には亀裂が生まれはじめていた。そんな中、2人はダッチから“お使い”を命じられる。気まずい雰囲気のまま、2人は仕事に出かけるが…。

最初に一般的な評価を受けたのはこの回でした。例のタバコのシーンは、自分的に凄く良いシーンが思いついちゃったと思って描いたわけではないんですよ。この回が『ブラック・ラグーン』の初期のターニングポイント的な言われ方をされることが多いんですけど、こちらはそれを狙ったわけではないので、そういう意味では意外でした。漫画ってそういうものなんでしょうか、難しいなあ(笑)。タバコのシーンの解説をするならば、ロックとレヴィは相棒(バディ)ではあるけど、付かず離れずの関係を描きたいと思って、ああいうかたちになったと思います。男と女だけど、彼氏彼女の関係ではない、薄皮一枚挟んで世界が違うということですかね。(広江氏)



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